こんにちは。法律事務所Zの弁護士の坂下雄思です。
今回のテーマは「事業承継の準備」です。
「引退も考えたいが、後継者をどうすればよいのか分からない」
「子供たちに会社を任せられるか不安だ」
「事業承継をするには何をしたらいいのか分からない」
色々なことを思いながら、日々の業務に忙殺されて、腰を据えて考えることができていない経営者の皆様も多いかと思います。
そのような場合には、弁護士に相談して、ひとつずつ問題を整理していくことが考えられます。
事業承継の方法や後継者の選び方については、こちらの記事に概要をまとめておりますので、ご参照ください。
この記事では、後継者のために会社(経営者)として準備しておきたいことをご説明いたします。
会社の資産と経営者の資産の整理・分離
事業承継を行う際に多くの会社で問題になるのは、「誰の資産を会社のビジネスで使っているか」という点です。
例えば、経営者一族が所有している土地・建物を、会社のビジネスで利用しているということは、よくあります。
このような場合に、経営者一族が所有している土地・建物を会社の所有にせずにそのままにしておくと、将来、相続等により土地・建物の権利関係が複雑になってしまい、最悪の場合、意図せぬ第三者に権利が移転してしまって、会社が土地・建物を継続して使用し続けることが難しくなってしまう可能性も否定できません。
特に、社外の第三者への承継を考える場合には、このことが原因となって承継がうまくいかないということもあります。
そのため、会社のビジネスの根幹に関係する資産が会社に帰属しているかを確認することは非常に重要です。
その他にも、例えば、会社で購入した車を役員が利用しているということもあり得ます。そのような場合、当該車を役員が買い取って、会社の負担がないような状態で事業承継を行うことが一般的です。
細かな問題ではありますが、経営者が会社を離れるという場合には、このような点も整理をしたうえで、物事を進めていく必要があります。
会社と経営者の貸付関係の整理
ビジネスを行う上で、経営者が会社に貸付をする、あるいは逆に会社が経営者に貸付をするということは、しばしば発生します。
経営者が会社に残り続けるのであれば、この問題が顕在化することはあまりないのですが、経営者が会社から離れるとなると、この関係を整理する必要があることが多いです。
事業承継の前に、会社が借りたお金は経営者に返す、逆に経営者が借りたお金は会社に返す、という対応がとられることが多いのですが、実際に返済するための現預金があるか(返済能力があるか)というところも問題になり得ますので、この点も整理をしておく必要があります。
株主の確認
会社の株主名簿はしっかりと整備されており、随時更新されているでしょうか。
また、会社の株主名簿に、知らない人の名前はないでしょうか。
古くからある会社の場合、いわゆる「名義株主」が存在することがあります。実務上よく見られるのは、旧商法の時代に、株式会社を設立するために発起人が7名以上必要だったことから、会社に関与しない知り合いに名義を借りて発起人になってもらっていた、というような事例です。
このような事例ですと、当時のことを知っている人は既に会社を離れていたり亡くなってしまっていたりすることが多く、事実関係の確認ができず、株主が誰なのかよく分からないという状態が生じることもあります。
事業を承継する側からすれば、株式をしっかりと譲り受けたうえで会社を運営していきたいと考えるのが一般的です。株主が誰かがはっきりしないと事業を承継してもらえないという可能性もあるので、注意が必要です。
事業承継の準備を弁護士に依頼するメリット
経営者にとって、事業承継は、大きな決断です。
同時に、承継する側にとっても、大きな決断になります。
事業を承継してくれる方が気持ちよく事業を承継してくれるように、問題になりそうな点は早めに解消しておくことが重要です。
そして、その解消のためには一定の期間を要することもありますので、早めに専門家に相談することが必要になります。
弁護士は守秘義務を負いますので、限られたメンバーでしか共有したくない事項を相談することができます。
また、顧問契約があれば、継続的に相談をしていただくことができ、事業承継の準備を着実に整えていくことができます。もちろん、通常のビジネスに関するご相談も可能です。
事業承継は、長期的な目線で考える必要があります。良き相談相手として、顧問弁護士の活用をご検討ください。
当事務所へのお問い合わせは、こちらからどうぞ。
 | この記事の執筆者:坂下雄思 アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所後、野村綜合法律事務所への移籍、UCLA LLM修了、ニューヨーク州司法試験合格を経て、法律事務所Zに参画。同時に、自身の地元である金沢オフィスの所長に就任。労働事件では企業側を担当。 |